東京都立不安病院 個展
2001年3月1日〜3月10日
渋谷ギャラリー ル・デコ
ナカタニD.
私は、いわゆる“マンガ世代”である。私はマンガに育ててもらった。そしていま、マンガに食べさせてまでもらっている。だから予てより、何かマンガに「恩返し」がしたかった。締め切りなどなく、商業(生業)としてのマンガのセオリーや、ノウハウにとらわれないかたちで、マンガの可能性をもっと引き出し、紙の上だけで成立しない、マンガの拡がりを発明してやりたかった。本作品で私は、ひとつのパロディーを実現させるためだけに、企業と組み、わざわざ本物の商品をつくって、流通させるという手のこんだ仕込みをした。また、蝋彫刻師 杉本英輝氏と7年にわたり、紙以外の素材とマンガのコラボレーションを模索してきた。そして、今回舞台となる架空の病院のCIを、元パオスのデザイナー荻原哲也氏と共に、マンガの“ストーリー”を現実と同じ工程でCI する、という作業も試みた。その上、“病院”という設定の説得力のために、心理カウンセラー衛藤信之氏のもとでカウンセリングの技術を学び、その資格も得た(現在、私は日本メンタルヘルス協会所属カウンセラーでもある)。はたしてこれらが、直接マンガの“拡大解釈”につながっていくものであるかは分からないが、60平米という空間の中で繰りひろげる「読み切りマンガ」の、大いなるクライマックスとなるものは用意できたと自負している。しかし、おかげで企画から実に、13年もの時間を要することになってしまった。
締め切りがないというのもまた、そら恐ろしいことである(?!)
東京都立不安病院 個展案内状より抜粋